そして帰国
大きな喧嘩を経てから前より一層仲が深まった私達。
そこからは一気に時間は過ぎていき、楽しく毎日過ごしていました。
そして、帰国が目の前に迫っていたデートの時に私はラビにある事を聞いてみました。
それは「いっつも、なんか欲しいのある?って聞いてくれてたけど私、指輪が欲しい」
帰国して離れ離れになるので、私は彼からの指輪が欲しかったのです。
私ははっきり言うと、それほど男性との交際が多いわけでもないので、勿論指輪をもらった経験もありません。
しかし、全てにおいてラビとの将来を考えていたので結婚指輪でなくても良いので、お互い離れていても二人は繋がっているという意味での指輪が欲しかったのです。
しかし、彼からの返答は「ごめん。無理なんだ」でした。
なぜかというと、日本なら高校生のカップルでもペアリングなどを簡単に購入できますが、フィジーの特にインディアンの風習で、指輪を女性に贈る=絶対に結婚するという意味があったので、彼はもし仮に結婚できなかったら私を傷つけると考えて指輪は贈れないとはっきり伝えてくれたのです。
勿論、悲しかったですがはっきりと理由を伝えてくれた彼の誠意に素直に理解できて「いいよ。ありがとう」と終わりました。
そんなやりとりから数日が過ぎ、気付けば語学学校の卒業式も終わってしまい、帰国まで残り2日と迫っていました。
この2日間は、私は彼とリゾートに出かけ過ごしていました。
一緒にフィジーで過ごせる最後の夜だったのですが、彼はサプライズで多くのプレゼントを買ってくれていました。
日本の家族用にだったり、友人用になど様々な人へのプレゼントがありました。
しかもいいブランドの物を買ってくれていて相当値段がしただろうなと考えていると、彼から「実はもう一つあるんだ」と言われ、え!こんなにあるのにまだあるの!?とサプライズに驚いていると、出されたのは小箱でした。
え、まさか。と考えていると、なんと指輪でした。
勿論ダイヤなどの本物の指輪ではなくどちらかというと玩具の様な指輪でした。
しかし、人生で初めて大好きな人に贈ってもらえた指輪。
彼は「お金がなくて安いのしか買えなかった。ごめんね」と言ってくれましたがダイヤモンドの指輪よりも私には価値のある指輪になりました。
民族の風習よりも、離れる私に寂しい想いをさせたくないという一心で指輪を購入してくれた彼。
涙が溢れて止まりませんでした。
そして指輪をずっと眺めていると、彼から「俺の事みなくて指輪みるなら、指輪没収~!」と言われ、2人でじゃれながらあっという間に旅行は終わってしまい、私の帰国当日を迎えました。
帰国の朝、彼の家族にも最後のあいさつをして、涙ながらに「また、帰っておいで」と言ってもらい更に私は大号泣。
そして、私はホストブラザーがタクシードライバーだったので彼に私の友人と共に空港まで送ってもらう算段になっていたのですが、突然道の途中で空港への道とは違う道路に入っていき「どこいくの?」とブラザーに聞くと「黙ってれば分かるよ」と言われしばらく乗っていると、なんとラビの職場に着いたのです。
友人と、え?ってなっていると、ラビが仕事から抜けてきて私の見送りにきてくれるというのです。(ホストブラザーは私たちの交際を知っていました)
サプライズに感動していると空港に着き、手荷物などの手配を終えて私と彼はホストブラザーの車の中で時間ぎりぎりまで過ごしていました。
多くは語らず、お互いの手を強く握りしめて“これからの遠距離恋愛も大丈夫”と伝えていました。
そして私は、半年前には名前も知らなかった南太平洋の小さな島国フィジーでの4カ月の留学を経て愛する人を残し日本に帰国しました。