前回の内容はこちらです。

メールの始まり

アルバイト先の中国人の友達の繋がりで出会った王くん(仮名。現在の夫)と初めて出会った日に連絡先の交換をしました。王くんは契約されていない携帯電話を持ち歩き、Wi-Fiの環境を利用してスカイプでメールや電話をしている状態でしたので、連絡先を交換したのは良いものの、当時の私としては「そんな風に携帯を使っている人がいるのか…」と軽いカルチャーショックを受けたのでした。

連絡先を交換した次の日の夜、王くんからメールが来ました。「バイトだよ。声が聴きたい。会いたいよ。」といった内容でした。王くんの好意にはなんとなく気付いているものの、私はまだ特別な感情を彼に抱いていなかった為、「バイトなんだ!お疲れさま!」と当たり障りのない返信をしました。

当時私は中国人の友達は何人かいましたが、恋人として付き合った事はなかった為、中国人の恋愛観を全く理解していなかったように思います。後に知った事ですが、日本人としては、私が当たり障りのないメールを返したということは「今はまだあなたは特別な人ではありませんよ」という意味になりますが、中国人の王くんはそう思わなかったらしく(汗)

「声が聴きたい、会いたい」とアピールしたのに「やめて」って言われなかった!…ということは、彼女も自分に気があるのかも知れない!というポジティブ思考を発揮したそうです。

日本人は「ノー」を言わない、ということはある意味周知の事実ですが、きちんと自分の気持ちを示さないことは時に相手を暴走させてしまいます。(特に恋愛では!)

全ての中国人がそうとは限りませんが、皆さんもお気をつけください…!笑

印象的な事

そんな風に王くんとは2〜3日に1回程度メールの交換をするようになりました。王くんの携帯電話が使える時間が非常に限られている為、そんなに多くのメールは交換しませんでした。

そんな中、王くんに言われて印象に残っていることがあります。

ある日「りりちゃん(私のこと)は優しいよね」というメールが来たので、「どうして?」と聞くとこんな答えが返って来ました。

「りりちゃんは、俺の日本語が遅くてもずっと待っててくれる。間違ってても、その後ゆっくり正しい言い方に直して、こういうこと?って聞いてくれる。日本人は日本語が下手な中国人に厳しい。イライラしたり、中国人の日本語の悪い発音だからって、なんとなく馬鹿にしてるのは、言わなくても俺たち中国人は分かってる」

なるほどな、と思った意見でした。

当時私は英語を猛勉強しており、第2言語を習得することがどれだけ大変かを身をもって感じていました。

中国人の友達と会話をするときも、日本語のみで、合わせてもらってばかりで悪いな、とも感じていました。

つまり、どんなに発音が悪くても、表現が間違っていても、それを日本語で言えるだけですごいな、という気持ちで中国人に接していました。反対に私はそれを中国語で言うことが出来ないからです。

現在は私も中国語を習得し、中国語でコミュニケーションを取ることが出来ますが、「俺たち中国人を馬鹿にしてる気持ちは、俺たちも気付いている」というのは、当時王くんに言われて、ズシンと心に響いた言葉でした。

そんな風にして交流を深めていった2人がその後お付き合いをして結婚するのは、まだ少し先の話なのです。

初めての電話

アルバイト先の中国人の友達を通じて出会った王くん(仮名。現在の夫)の特別な好意を感じつつも、あまり積極的に受け入れられなかった私。連絡手段はスカイプのみという状況(王くんが携帯代を払えない為契約をしていなかったのです)にも負けずに、細々とメールのやり取りをしていました。少しずつ彼の素直さや誠実さを感じ始めたのもこの頃です。

メールの交換を始めて数ヶ月経った後、王くんから「電話しない?」というお誘いのメールが届きました。いつかはメールから電話にステップアップする事を予想していたので、そんなに驚きはしませんでした。

その日の夜、王くんから電話が来ました。ドキドキしながら「もしもし?」と出ると「りりちゃんですかー?」という王くんの声。久し振りの王くんの声に少しドキッとしたのも束の間、電話がツーツーと切れました。

あれ?と思い数分待ちましたが、電話はならず。

「切れたよー!?」とメールをしたものの返事が来ず。

約1時間後再び電話が来ました。

「ごめんねー。スカイプのカードが切れて、コンビニに買いに行ってたよー」と。

呆れながらも、とても安心したのを覚えています。そして心の中で「電話する前にカードの残りを確認しようよ」とツッコミをいれたのです。

王くんは、私が日本人の学生と過ごす中ではあまり出会う事のない不便さの中で生活をしていました。王くんだけでなく、他の中国人留学生もお金がないことが多く、日本人ではあり得ませんが、友達同士のお金の貸し借りも当たり前のようでした。

お金のないルームメイトに毎日ご飯を食べさせてあげてり、無利子、無期限で十数万のバイト代を貸してあげて、自分は食べ物を買うお金がなく、別の友達に食事の世話をしてもらう…といったお互い助け合うコミュニティーが確立していました。

初めての電話はそんな感じで、今日あったことなどを20分程度話して終了しました。次の電話の約束は、しませんでした。

それでも私は、王くんとの初めての電話に自分でもびっくりするほど、心が踊っていたのです。それと同時に王くんを通じて見える日本に中国人の生活に興味津々で、さらに深く感心していたのです。

もっともっと中国の文化について知りたい、そして王くんについて知りたいと感じました。

携帯電話を持ちながら、スカイプのカードが切れて、また買いに行くという、テレカ生活をしていた王くん。(笑)

彼が将来私の夫となり、さらにディープな中国を教えてくれるのは、まだ少し先の話です。当時の私は、まだまだ「中国初心者」だったのです…。

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