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結婚に向けて①

国際結婚 中国 体験談

 

友達の紹介で知り合った王くん(仮名、現在の夫)とお付き合いをすることになった私。文化の違いに驚いたり、感動したりしながら、順調に交際を続けていました。そんな日々の中で私は専門学校を卒業し、英会話スクールの講師として働くことに。王くんはその少し前に日本語学校を卒業し、アルバイトに明け暮れる日々を送っていました。

王くんは卒業後日本の企業に就職しませんでした。理由は「俺はサラリーマンになって毎日ロボットみたいに暮らすのは嫌だ。確かに安定しているけど、それだけで何も面白くない。俺は日本人じゃないから、安定がそれほど良いとは思わない!俺は中国人だから、いつかビジネスする!俺の人生は俺のものだから。」といったものでした。

恐らく、日本人の感覚で言うと、王くんのような考えはあまり評価されないでしょう。100歩譲って彼氏なら良いけど、結婚は無理かな〜というのが一般的な日本人女性の意見だと思います。

しかし、当時の私は「ふ〜ん、じゃあ、そうすれば?」とさらっと受け入れました。当時既に王くんとの結婚も考えていなくはありませんでしたが、結婚して王くんが不安定な収入の仕事をするなら、私が稼いで王くんを養えば良いや、と考えていました。

王くんとの付き合いの中で、例えば王くんが会社員になって、上司の顔色を伺いながらサービス残業をするなんて、とても無理だと分かっていましたし、私自身も、日本の典型的な労働環境(サービス残業をする、いち従業員でも経営者思考を求められる、形ばかりの無駄が多い、何かと精神論で押し通す、など)には強い苦手意識を持っていましたので、王くんの気持ちが良く理解出来ました。

(ちなみに結婚した今でも、会社への奉公という意識が全くない王くんは、私が会社の愚痴を言うと「じゃあ辞めちゃえ。なんでそんな会社で働いてるの?こっちの得がないのに、会社の社長のお金儲けの手伝いなんてする必要ないじゃん」とすぐに言います。笑 )

しかしそんなある日、私たちは1つの問題に直面したのです。それは「王くんの学生ビザが切れてしまう」というものです。

ビザがないと言う事は、王くんがもう日本にいられない、私たちがもう、日本で一緒にいられないということです。

王くんは既に学校を卒業して別の学校にも入っていなかったので、学生ビザの取得は不可能。就職もしていないので、就職ビザも駄目。企業もしていないので、企業ビザも取れない。私は当時中国語が全く出来なかったので、一緒に中国に行く事にも抵抗がありました。

つまり日本で2人が一緒にいる為の唯一の現実的な方法が結婚して結婚ビザを取得することだったのです!

王くんの家で2人でくつろいでいる時に、ふと王くんが言いました。

「じゃあ、結婚しよう」

じゃあ、と言われても、ロマンチックのカケラもありませんが、それが王くんからのプロポーズでした。王くんと一緒にいたい気持ちはもちろんありましたが、その時私はすぐに返事が出来ませんでした。

中国人の友達も何人かいて、王くんともお付き合いをしてきて、中国人の文化や考え方はある程度理解しているつもりでしたが、心のどこかで「中国人は悪い人だ。私は最初から騙されていて、偽装結婚を狙われているかも知れない!」と王くんを疑っていたのです。

日本のテレビで取り上げられる中国人は大抵の場合「大声で話す中国人、並ばない中国人、爆買いする中国人、お金大好きな中国人、狭い隙間に挟まる中国人の子供、中国の適当な工事で崩れた建物」…など良いイメージのものがありません。

王くんと結婚し、中国語を理解できるようになった今となっては、私たちがいかに意地悪な目で中国人を見ているかが良く分かります。日本で放送されている中国の姿は決して嘘ではありませんが、ほんの一部です。重箱の隅を突くような中国人の粗探しは、はっきり言って醜いです。私の偏見かも知れませんが、大抵テレビで「海外の感動のストーリー」が放送される場合は、中国人以外の外国人(大抵は英語を話す国の人々)が癌と闘いましたとか、中国人以外の外国人(大抵は英語を話す国の人々)刑事が凶悪犯を捕まえました、などばかりな気がします。

癌と闘った中国人だって沢山いるはずです。凶悪犯を捕まえた中国人の警察官だって絶対に存在するはずです。

今となっては、冷静に中国と日本の構図について考える事が出来ますが、当時の私は若くおバカさんだったので、中国人は本当は悪い人たちだ、という洗脳から抜け出せていなかったのです。

王くんが「俺りりちゃんのこと好きだよ。日本で一緒にいたいんだ。」と言っても、一度王くんを疑ってしまうと、そんな台詞も空々しく聞こえてしまい、「ビザが欲しいから私と結婚したいんでしょう?」と今では信じられないような残酷な言葉を投げつけてしまったこともありました。

その度に王くんはひどく傷ついた顔で「俺はりりちゃんと一緒にいたいだけだよ。中国語も出来なくて、中国で仕事する事も出来ないりりちゃんを中国には連れて行けないよ。」と説明したのですが、私はそれを一向に信じる事が出来ませんでした。

本来、日本人と中国人の偽装結婚とは、お互いが一度も会った事がなかったり、まずは報酬の話が先に出て、交渉へと向かっていく…といったものらしいです。その事実からも、王くんが偽装結婚のために私にプロポーズしたのではないことは一目瞭然なのですが、(何度も言いますが)私は無知のおバカさんだったので、何度も何度も「偽装結婚だ、私を騙した」と王くんを責めてしまったのです。

そんなケンカが続き、ついに疲れ果てた王くんは「そんなに俺の気持ちを信じてもらえないなら、俺は中国に帰る」と言い出しました。

それに対しても私は「なんで私を中国に連れて行ってくれないの!」と、トンチンカンに王くんを責めたのですが、王くんは「俺の気持ちを信じて欲しい。その為なら何でもする」の一点張りでした。

仕事に、王くんとのケンカに疲れ果てていた私でしたが、その後王くんと結婚することを決意しました。ドラマの様に何か決定的な王くんの言葉があった、という訳ではありませんが、やはりどんな気持ちよりも「王くんと一緒にいたい」という気持ちが勝った為です。

私の決意を伝えると王くんは、とても嬉しそうに「ありがとう、幸せになろうね」と言いました。その後何年か経ってからでも、王くんはあの頃の事を時々口にします。好きな人に「中国人だから」という理由で疑われたり責められたりするのは、とても悲しかった、と。

自分に何か原因があるならまだしも、特別な理由もなく、「中国人だから」という理由で拒否されるのは納得がいかなかった、と。

その後喧嘩をする度に、「こんなことするなんて、やっぱり偽装結婚だったんだ!」などと言ったこともありましたが、王くんに「バカとか、嫌いとか、何を言われても良いけど、それだけは言わないで」と言われました。

結婚して数年が経ったいま、王くんのあの時の言葉は嘘でなかったと確信しています。偽装結婚なんて、とんでもない。王くんと出逢えたことは私の人生の1番の幸福だと言えるくらい、大事に大事にしてくれています。

さて、結婚を決意したのは良いものの、さっそく次の壁が待ち構えていました。

 

「私の両親への説得」「結婚ビザの取得」問題

国際結婚 中国 体験談

 

両親の説得は日本人同士の結婚でも難しい場合が多いですが、私の場合相手は中国人。若い私でさえ、かなり壊れた眼鏡を通して「中国人」を見ていたのに、私の両親が何の思い込みや偏見なしに見るとは到底思えませんでした。

その通り。

これがまた、とてもやっかいな壁だったのです…。

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